塩ビシート防水の耐用年数は?メンテナンスすべき主な劣化症状は4つ!
2023.03.08更新 外壁塗装

屋上やベランダの防水工事で塩ビシートを使用したい場合、事前に塩ビシートがどのようなものなのか、詳しく知っておくことが大切です。
「塩ビシート防水を使用したいけれど、耐用年数や相場はどれくらいか分からない」
という方も多いと思います。
この記事では、塩ビシート防水の耐用年数やメンテナンスすべき劣化症状、単価相場などを解説します。
防水工事の経験豊富な「ミヤケン」が、実際に施工した塩ビシート防水の工事例もご紹介しますので、併せて参考にしてみてください。
目次
塩ビシート防水の耐用年数や耐久性は?
はじめに、塩ビシート防水とはどういったものなのかを解説します。
「塩ビシート」はエンカビニールで作られたシートのことで、正確には「ポリ塩化ビニール」といい、加工品のため長尺になっています。
この塩ビシートで防水層を作る防水法が、塩ビシート防水です。では、塩ビシート防水の耐用年数や耐久性、特徴を詳しく解説していきます。
塩ビシート防水の耐用年数は約10年〜20年で、他の防水工法と比べても長期間の使用が可能です。紫外線や雨水、風などにより劣化してしまいますが、定期的にメンテナンスすることできれいな状態を保つことが可能です。
塩ビシート防水の特徴
塩ビシート防水の特徴は、接着剤を使用するため設置場所の素材を選ばないことです。また、発泡剤を含まないという特徴があります。
長尺で出来上がるため、自宅以外に学校や病院など、床面積の広い場所でも使用されることが多いです。
脱衣場やトイレなど、狭い場所でも床に使用すれば防水効果を高めることができるので、人気の防水材となっています。
塩ビシートを防水用として活用する場合、柄物でなく無地のものを使用するのが一般的です。
さらに、塩ビシートは素材がきれいに着色する上に高い耐久性があるため、一般的な防水層メンテナンスの保護塗装が不要となり、維持管理費用もあまりかかりません。
防水材を乾燥させる必要もないため、広い面積の床でも一気に施工可能です。
このようにたくさんメリットがあり、塩ビシートは防水工事で使用されやすくなっています。
FRP防水は何年持つのか
防水工事にはシート防水の他にもいくつか工法がありますが、ここでは防水工法の1つ、FRP防水について解説します。
FRP防水はFRPと呼ばれる強化プラスチック材を使用していて、強度が高く耐久性も優れています。FRP防水は何年持つのかというと、おおよそ10年です。
しかし、トップコートを5年程度で塗り替えなければならないため、塩ビシート防水よりメンテナンスの手間がかかることを理解しておくとよいです。
FRP防水については、後ほど工法や費用なども解説しますので併せてご覧ください。
シート防水の法定耐用年数は
国が定めた固定資産を使用できる期間を、法定耐用年数といいます。シート防水の法定耐用年数は、13年程度です。
他の工法と比べると以下の通りです。
- ウレタン防水:8年〜10年程度
- FRP防水:10年〜12年程度
- アスファルト防水:15年〜25年程度
シート防水の耐用年数は、平均並みです。
塩ビシート防水工事の単価相場
工事をおこなうにあたり、1番気になるのが塩ビシート防水工事の単価相場だと思います。工事費用はどれくらいなのかをご紹介しますので、おおよその目安にしてみてください。
塩ビシート防水の費用相場は、1㎡あたり約4,000円〜約8,000円です。
-
他の工法と比較すると、
- ウレタン防水:約4,500円〜7,000円(1㎡あたり)
- FRP防水:約6,000円〜8,000円(1㎡あたり)
- アスファルト防水:5,500円〜8,500円(1㎡あたり)
となり、さらに上記の金額に足場代や人件費などが加算されます。
また、施工箇所の下地の状態や広さ、材料などによって変動しますのでご注意ください。
塩ビシート防水の工法は2種類ある
塩ビシート防水は、2種類あります。
- 密着工法
- 機械的固定工法
それぞれの工法内容やメリット、デメリットは以下の通りです。
密着工法
下地やシートの裏面に接着剤を塗布し、貼り付ける工法
- メリット:施工が早く済む、低コストで軽量なので建物への負担が少ない
- デメリット:複雑な箇所の施工は難しい
機械的固定工法
暖衝材を下地に介し、鋼板やビスで防水層を機械的に固定する工法
- メリット:地震に強い、保護塗装など定期的なメンテナンス不要
- デメリット:工事の際騒音が出る、歩くのに適さない
耐用年数は、接着工法、機械的固定工法ともに約15年〜20年ですが、工法によって単価相場は変わってきます。
- 接着工法:約4,000円〜5,000円(1㎠あたり)
- 機械的固定工法:約5,500円〜7,500円(1㎠あたり)
上記の通り、機械的固定工法の方が若干高くなっています。
基本的に、雨漏りしている場合は機械固定工法、雨漏りしていない場合は密着工法をおこないますが、両方の工法を理解してどちらにするか検討してみてください。
関連記事:シート防水「機械固定法」の作業手順
ベランダや屋上シート防水の寿命
ベランダや屋上シート防水の寿命は、どれくらいなのでしょうか。
シートの寿命を縮めないためには、シートの劣化原因やどのように劣化するのかを知ることが大切です。
後ほど塩ビシート防水の劣化症状も詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
トップコートの塗布で寿命は延びるのか
トップコートの塗布で寿命は延びるのか、気になる方もいると思います。
トップコートは表面に塗布する保護材で、防水層を守り、防水シートの劣化を遅らせるのが役目です。
ゴムシートは熱や温度変化に強い一方、紫外線には弱い特徴があります。
さらにベランダや屋上は1年中紫外線を浴び続けるため、劣化は早いです。
トップコートで表面を保護すると寿命は約5年〜10年延びますが、寿命を迎えて塗膜がはがれるとシートが紫外線の影響を直接受けるため、再び劣化していきます。
トップコートを塗布したい場合、短い期間で塗り直しが必要になるので、結果コストが多くかかることを頭に入れておくとよいです。
塩ビシート防水の劣化症状は4つ
防水工事は10年〜15年でのメンテナンスが最適ですが、使用している防水材によって劣化のスピードが異なるため、ご自宅の防水工事の内容に合わせてメンテナンスをおこなうことが重要です。
塩ビシート防水は劣化しやすいのが難点で、特に多くみられる劣化症状は4つあります。
- 色あせしている
- ひび割れしている
- 膨れやはがれが起きている
- 破れている
劣化症状は状態が悪くなっているだけでなく、見た目もよくない印象を与えてしまいがちです。
具体的にどのように現れるのか詳しく解説していきますので、似たような症状を見つけたら早急な対処をおすすめします。
色あせしている
雨水や紫外線の影響で表面の塗装の色があせることを、色あせしているといいます。
色あせは劣化の初期症状なので、早く対処すればひび割れやはがれ、膨れなどを防ぐことが可能です。
色あせを見つけたら早めに対処することが大切です。
ひび割れしている
コンクリートの表面や防水層にひびが入る症状です。
劣化が激しいと、シートの上を歩くだけでひび割れしたり穴が空いたりする場合もあります。
ひび割れが起きる原因は乾燥収縮や凍結融解、中性化などですが、塩ビシートの場合、劣化や膨張、収縮などが引き金となります。
見た目を悪くするだけでなく怪我をすると危険ですので、ひび割れが発生していたら早めのメンテナンスをおこなうとよいです。
膨れやはがれが起きている
密着工法をした場合、防水層の下に水分が入り込み気化することで、膨れやはがれが起きてしまうことがあります。膨れやはがれは、正確に施工しても起こりうる症状です。
シートの膨らみは初期症状のためすぐに雨漏りする心配はありませんが、放っておくとシートが破れやすくなってしまいます。
シートが破れてしまうと雨水が浸入する可能性が高まるので、早めにメンテナンスするとよいです。
シートごと交換することになり高い費用がかかってしまった…となる前に、対処することをおすすめします。
破れている
塩ビシートの厚みは1.5mm〜2.5mmとかなり薄く、重たいものや尖ったものに触れるだけで破れてしまうこともあります。
ベランダや屋上の場合、カラスに破られてしまった、強風で物が飛んできて破れたという事例も多いです。
強風が吹いた後はもちろん、定期的にシートが破れていないか確認することが大事です。
塩ビシート防水の施工方法は
塩ビシート防水の施工方法は、どのようなものなのか気になるのではないでしょうか。
施工方法は下記の通りです。
- 下地清掃
- 下地処理
- 接着剤塗布
- シート張り付け
- シート接合
- 立ち上がり部施工
- 接合端末部のシール張り
密着工法
機械的固定工法
実際に「ミヤケン」がおこなった、塩ビシート防水・機械的固定工法の施工事例をご紹介します。
こちらのシートは、写真の通り浮きの症状がみられます。
このまま放置してしまうとシートが引っ張られ、そのままはがれてしまう可能性もあります。
初めに、浮いていたシートを撤去します。
その後、絶縁シートと呼ばれるシートを平面に敷き、塩ビシートと接触しないようにしていきます。
さらに、塩ビシートを融着させるためディスク盤を等間隔で固定します。
次に、入り隅箇所に押さえ鋼板を固定します。
鋼板の上にシートを敷いていき、入り隅鋼板、ディスク盤に熱でシートを融着させます。
立ち上がり部分は密着工法を施し、外壁との取り合いに端末押さえ金物を取り付けます。
塩ビシート専用の改修用ドレンを取り付け完了です。
ミヤケンのホームページでは、他にもシート防水工事の施工事例をご紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。
関連記事:前橋市の防水工事
その他の防水工法や種類との違い
塩ビシート防水について解説してきましたが、その他の防水工法や種類との違いはどのようなものなのかもみていきましょう。
今回は、ウレタン防水、FRP防水、アスファルト防水を解説します。
ウレタン防水
- 工法:密着工法、通気緩衝工法
- 耐用年数:8年〜10年程度
- 費用相場:約8万円〜12万円(10㎡あたり)
- メリット:複雑な場所でも塗布可能、防水層が軽量なため建物に負担をかけにくい
- デメリット:手作業のため職人の技術が問われる、定期的に(5年〜6年)トップコートを塗り替える必要がある
ウレタン防水は、液体状の防水材を塗布し、厚みを作って防水効果を発揮させる工法です。
液体の防水材のため、複雑な形状の場所でも施工しやすいのがメリットです。
下塗り後に防水材を2回塗布することで、防水効果を十分に発揮します。
FRP防水
- 耐用年数:10年〜12年程度
- 費用相場:約10万円〜15万円(10㎡あたり)
- メリット:特に防水性に優れている、耐荷重性、耐摩擦性も高い
- デメリット:費用が高め、伸縮性が少ない
FRP防水は、ガラス繊維で作られたマットを敷いてポリエステル樹脂を上から塗布する工法です。
マットを敷くため、重いものをのせても割れないほど頑丈で、乾燥が早いのも特徴です。
さらに薬品や熱、重みに強いメリットもあります。
アスファルト防水
- 工法:トーチ工法、熱工法、常温工法
- 耐用年数:15年〜25年程度
- 費用相場:約50万円〜90万円(80㎡あたり)
- メリット:耐久性、防水性が高い
- デメリット:アスファルトを溶融しながら施工するため、臭いや火事のリスクがある
アスファルト防水は、合成不織布にルーフティングというアスファルトをコーティングした材料を重ねて貼っていく工法です。
紫外線や水に強く、人や車が歩いても問題ないほどの強度があります。
関連記事:防水工事の種類と工法
ゴムシート防水と塩ビシート防水の違い
ゴムシート防水と塩ビシート防水の1番の違いは、厚みです。
ゴムシートの厚みが1.2mm〜2.0mmなのに対し、塩ビシートの厚みは1.5mm〜2.5mmです。
厚みが違うからといって性能が大きく変わるわけではありませんが、薄いゴムシートの方が外部からの刺激に弱い傾向があります。
ゴムシートを使用する場合、保護材を塗布して補強度を高めることが可能です。
その他の違いは以下の通りです。
ゴムシート
メリット:リーズナブルなコストで工期も短く済む、耐候性が高い
デメリット:薄いため外部からの刺激に弱い
塩ビシート
メリット:ゴムシートより耐久性が高く、寿命が長い
デメリット:劣化しやすい
耐用年数が約10年〜15年のシート防水に比べ、塩ビシートは約10年〜20年と、塩ビシートの方が耐用年数は長いです。
ですが、太陽の熱や雨水の影響を長年受けるとシートは劣化していきます。
どちらのシートの場合でも、耐用年数を守って定期的にメンテナンスすることが大切です。
まとめ
塩ビシートの耐用年数や劣化症状について解説してきました。
10年〜20年と長持ちする塩ビシートですが、きれいな状態を保つためには、定期的なメンテナンスが必須です。気になる劣化症状がみられたら、放置せず業者に相談することをおすすめします。
「ミヤケン」は防水工事の知識をもった経験豊富のスタッフが1軒1軒丁寧に施工させていただきます。
建物点検や見積もりも無料でおこなっていますので、工事を検討中の方もまずはご相談ください。
スタッフ一同、ご連絡をお待ちしています。
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