外壁に発生するクラックの種類と補修方法別の相場を紹介
2025.01.17更新 劣化症状

街を歩いていると、外壁にひびが入っている家を見かけることがあります。家のひびは放っておいてよいものなのでしょうか。
家の外壁のひびを建築用語では「クラック」と呼びます。この記事では、クラックとは何か、クラックの種類、発生原因、修理方法などについて解説します。
意外に多く見かけるクラック。自分の家でクラックを見かけた時の対応法を知っておけば、冷静に対応できます。
目次
外壁に見られるクラックとは
「クラック」とは、住宅の外壁に入っているひび割れのことです。英語の「ひびが入る、割れる、砕ける、折れる」という意味を持つ”crack”という単語が元になっています。
外壁にできたクラックは目につきやすく気づきやすいですが、クラックは外壁だけにできるものではありません。内壁や基礎部分、コンクリート床、外壁材のつなぎ目のコーキングなど、住宅のいろいろなところに発生します。
外壁にクラックを見つけたから今すぐに危険が差し迫っている状態であるというわけではありません。しかし、クラックを長い間放置しておくとひび割れがより大きくなったり、建物の耐震性に影響をおよぼしたりします。あまりにクラックが大きくなると対処できなくなる場合もあるので、クラックのタイプをよく見極め、適切に対処をしていく必要があります。
クラックの種類と発生原因
新築時にはなかったはずのクラック。クラックにはどのような種類があり、どのように発生するのでしょうか。
ヘアークラック
ヘアークラックとは、幅が0.3mm以下の軽微なクラックです。髪の毛のように細いのでヘアークラックという名前がついています。ヘアークラックは外壁の種類を問わずさまざまな外壁材に発生しやすいひび割れです。
ほとんどのヘアークラックは、外壁の表面(塗膜)の経年劣化によって起こります。長年受け続けた雨風や紫外線などの影響で劣化した塗膜が外壁の素地の膨張収縮についていけなくなり、ひび割れてしまうのです。
施工してからさほど経っていないにもかかわらずヘアークラックが発生した場合には、施工に問題があった可能性もあります。塗料の乾燥時間が十分に取られていなかった場合や、素地と塗料の相性がよくない組み合わせであることに気づかずに施工してしまった場合には、塗膜が経年劣化していなくてもヘアークラックが発生することがあります。
ヘアークラックは深さがあまりなく、外壁の表面(塗膜)だけが小さくひび割れている状態なので、外壁の下地、柱などの構造材、鉄筋などに影響することもなく、緊急で対応する必要はありません。
様子見でも構いませんし、専門業者を呼んで補修してもらってもよいでしょう。ヘアークラックならDIYでも補修できます。様子見の場合には定期的に観察し、クラックが大きくなってくるようであれば、補修する必要が出てくるでしょう。
構造クラック
構造クラックとは、構造に影響を及ぼす危険性が高いクラックです。貫通クラックとも呼ばれます。大きさの目安は幅0.3mm以上、深さ5mm以上です。
構造クラックは、ヘアークラックと異なり外壁材そのものが内部から割れている可能性があり、そのままにしておくと建物自体の強度の低下や雨水の浸入による外壁の劣化、雨漏り、腐食といった被害につながりかねません。
放置しておくと大きな問題を引き起こす恐れがありますので、構造クラックを見つけたらすぐに専門業者に連絡し、対処してもらいましょう。構造クラックくらい深いクラックになると、DIYでの補修は難しいです。
構造クラックが発生する原因としては、地震や地盤の揺れのような外部から力がかかることが挙げられます。ヘアークラックから構造クラックに移行することもあります。また、建物の構造的欠陥が原因で建物に想定外の力がかかり構造クラックが発生する場合もあります。
開口クラック
開口クラックとは、ドアや窓などの開口部(扉や窓が開いたり閉まったりする場所)に見られるクラックです。
ヘアークラックや構造クラックはその幅や深さで判断するのに対し、開口クラックはどこにできるかで判断されます。
開口クラックは、建物にかかる揺れや歪みのような負荷が原因でできることが多いです。開口部はそれに加えて扉や窓を開けたり閉めたりする際に衝撃が加わりやすいため、どうしてもひび割れしやすいのです。
開口部は雨が通る場所なので、外壁内部へ雨水が浸入していきやすいです。開口クラックを放置していると、外壁や構造の劣化が進んでしまいます。発見したらできるだけ早く専門業者に連絡し、対策してもらいましょう。開口クラックは、開口部の造りによって対処法が異なるため、プロに任せるのが安心です。
乾燥クラック
乾燥クラックは、モルタルなどの外壁材が乾燥する時に収縮することでできるクラックです。
外壁材の水分蒸発や、乾燥した状態が長く続くことによって生じます。コンクリート施工やモルタル壁施工時に、完全に乾燥しきる前に塗料を塗ってしまうと、水分蒸発によって乾燥クラックが生じます。乾燥クラックは、幅の狭いひび割れ方が特徴です。
縁切れクラック
縁切れクラックとは、モルタル外壁など湿式工法で仕上げられた壁の、継ぎ目部分に見られるひび割れです。
一般に、湿式工法では壁一面を一度に仕上げるのが基本です。しかし、なんらかの事情で一度で仕上げられず、分割して仕上げることがあります。その際、先に塗ったところと後に塗ったところでは乾燥スピードが違うので、継ぎ目にひび割れが生じてしまうことがあります。
縁切れクラックは外壁素地のひび割れです。表面の塗膜に亀裂が入ると、外壁内部に雨水が浸入してしまいます。軽い縁切れクラックなら補修材を注入して再塗装することで補修できますが、大きくひび割れている場合はひび割れ部分をV字またはU字にカットした上での補修が必要になります。
縁切れクラックを発見したら専門業者に連絡し、点検・メンテナンスをしてもらいましょう。
幅の大きさ別クラックの補修の必要性
ここまでクラックの種類やでき方を解説してきました。
このクラックは今すぐ補修が必要なの?様子見でもいいの?と気になっている人も多いのではないでしょうか。ここでは、クラックの幅別に、補修の必要性がどれくらいなのかを見ていきましょう。
幅0.3㎜未満
幅0.3mm未満の細いクラックは、ヘアークラックであることが多いので様子見してもよいでしょう。
ただし、最初は細かったクラックがだんだん幅が大きくなり深さも増していくケースもありますので、クラックの様子には注意を払い、大きくなるようでしたら専門業者に補修を依頼しましょう。
幅0.3~1.0mm未満
幅が0.3mmあるけれど、1.0mmまではいかない場合はどうでしょうか。幅が0.3mmを超えていると、構造クラックの可能性が高いです。
これ以上大きなクラックになる前に、早めに補修をするのがおすすめです。クラックは大きくなればなるほど補修も大変になり、外壁の下地や構造材など家の他のパーツに与える影響も大きくなります。
構造クラックをDIYで補修するのはおすすめできません。補修する際には、きちんとした知識を持つ専門業者に依頼しましょう。
幅1.0~3.0㎜未満
幅1.0mm〜3.0mm未満のクラックは、見つけたらすぐに専門業者に補修を依頼しましょう。
このサイズのクラックになると、クラックができているだけでなく、外壁の下地や構造材にも影響が出ている可能性もあります。クラックの補修だけでなく、プロの目で全体的に点検をしてもらい、適切な処置をしてもらいましょう。
幅3㎜以上
クラックの幅が3mmを超えていたらかなり深刻な状態です。見つけたらすぐに専門業者を呼び、必要な点検・メンテナンスをしてもらいましょう。
できたクラックの幅が3mmを超えるような状態では、クラックができているだけでなく、外壁材や構造材も何かしらの影響を受けている可能性が高いです。場合によっては、外壁材の張り替えが必要になるケースもあり、費用もそれなりにかかってしまいます。
外壁のクラックの補修が必要な理由
今現在特に大きな問題が感じられなくても、外壁のクラック、特に構造クラックをなるべく早く補修しなければならない理由はなんでしょうか。
実は、クラックの隙間からいろいろなものが家の構造の内部に入ってくることで、家を基礎から揺るがすような大きな問題に発展する恐れがあるのです。ここでは、雨漏りによって引き起こされる問題、シロアリなどの害虫によって引き起こされる問題の2つの問題についてご紹介します。
雨漏りによるカビや腐食を引き起こす危険性がある
構造クラックを放っておくと、そこから雨水が入り込み、雨漏りによるカビや腐食を引き起こす危険性があります。モルタルの外壁なら内部の金属網が錆びてモルタルが剥がれてしまい、サイディングやタイルの場合には、目地の部分のヒビ割れから浸入した雨水が下地の胴縁の腐食や石膏ボードの劣化を招いてしまいます。さらに被害が進み断熱材にまで水が到達すれば、カビが発生し室内にもカビの影響が及ぶ危険性があります。こうなってくると、快適に暮らすためには多くのパーツを交換することになり、多額の費用がかかってしまいます。
シロアリなどによる害虫被害が発生する可能性がある
続いては、シロアリなどによる害虫被害が発生する危険性についてです。
構造クラックを放置しておくことで雨水が建物内部に浸入し外壁が水を含んだ状態になります。シロアリは湿度を好みます。外壁が水分を含んだ状態が長く続くとやがてシロアリが発生して家全体が倒れてしまうということになりかねません。
このように、ひとつひとつは小さな傷にしか見えないかもしれませんが、構造クラックを放置しておくと思わぬ被害拡大へとつながる恐れがあります。そのため、構造クラックは見つけたら早めに補修をすることが大事なのです。
クラックの補修方法と価格の目安
クラックの補修方法にはどのようなものがあるでしょうか。また、補修にかかる費用はどれくらいなのでしょうか。
シール充填
シール充填は、シーリング材を使ってクラックを埋める補修方法です。ヘアークラックや、軽微な構造クラックなど、比較的小さいクラックに使われます。
補修した跡が目立ちやすいので、外壁塗装前の整備としての補修に使われることが多い方法です。
費用は1mあたり500円〜900円程度です。
カット工法
カット工法とは、クラックの周りをV字またはU字にカットしてシーリング材や樹脂を充填する補修方法です。幅が0.3mm以上のクラックに使われる工法で、クラックの周りを切り取ることでシーリング材や樹脂と補修箇所との接着面を増やし、より強く固めることができます。
費用は1mあたり約1千500円~2千円です。
樹脂注入工法
樹脂注入工法とは、数箇所に注入器を固定する器具をつけて亀裂部に固定し、周りをシーリングでふさいだ上で、注入器を使ってエポキシ樹脂を流し込む補修方法です。注入器からエポキシ樹脂がゆっくりと充填されていくので、細いクラックの先まで隙間なく樹脂を注入することができます。
厚みがあるコンクリート外壁や、幅が1.0mm以上ある大きなクラックに対して有効な工法です。
価格は1mあたり2千円〜程度となっています。
外壁塗装でもクラックの補修はできる?
クラックの補修は、外壁塗装でもできるという記事を目にすることがあります。これは本当なのでしょうか?
軽微なヘアークラックであれば、外壁塗装でも補修することはできます。クラックが小さく細いので、塗装し終わればどこにクラックがあったのかすらわからないことも少なくありません。
クラック対策を考えるのならば、伸縮性のある弾性塗料を塗料を塗ることによってクラックの発生を防ぎやすくなります。
また、外壁塗装で補修ができるのは軽微なクラックであるヘアークラックだけです。構造クラックは、きちんと補修をしてから外壁塗装をする必要がありますので、注意しましょう。
クラック補修の仕上がりをよくするポイント
クラック補修をより目立たなく、美しく仕上げるためにはどのような点に注意したらよいでしょうか。
ここでは、3つのポイントをご紹介します。
適切かつ高品質な補修材を使用する
使う補修材は、クラックをどのように補修するのかによって異なります。また、クラックが生じている外壁の素材は何なのかによっても変わってきます。
適切かつ高品質な補修材を使用することが、クラック補修を美しく仕上げるための第一歩です。
補修しようとしているクラックに対してどの補修材が適切なのかの見極めは、クラック補修に関して豊富な知識や経験を持つ専門業者に任せましょう。
正しい補修方法を選択する
次に、正しい補修方法を選択することです。
一口に「構造クラック」と言っても、そのひびの入っている場所、外壁の材質、入り方、深さは異なり、ひとつとして同じクラックはありません。クラック一つひとつで最適な補修方法は違います。クラックの状態をよく見極め、どのような補修方法が最適なのかをきちんと選択するには、経験豊富なプロの目が欠かせません。
正しい補修方法を選ぶことが、クラック補修跡を目立たせず、美しく仕上げることにつながります。
実績のある業者に依頼する
クラック補修の実績を豊富に持つ業者に依頼しましょう。
最近では多くの業者がホームページやSNSアカウントを持っており、キャンペーンや施工実績を積極的に紹介しています。クラック補修の実績がどの程度あるのかを調べてみましょう。
施工実績が豊富であれば、その分ノウハウも持っている可能性が高いです。しかし、一口に「リフォーム専門」と言っても、外壁リフォームが得意な業者もいれば、水回りの設備の入れ替えが得意な業者もいます。クラックの補修を依頼するのであれば、クラック補修が得意な業者やクラック補修の豊富な実績を持つ業者に依頼したいものです。
クラックを適切に補修して家を長持ちさせよう
ここまで、クラックとは何か、クラックの種類や発生原因にはどのようなものがあるのか、修理方法などについてお伝えしてきました。
「幅0,3mm」で様子見でいいのかすぐに補修した方がいいのか、またDIYでも対応できるのか専門業者にお願いした方がいいのかが分かれます。
クラックを発見したらまずは幅を確認し、それから適切な対応を取りましょう。
クラックを適切に処理し外壁を長持ちさせることは、家を長持ちさせることにつながります。快適な生活空間を保ち続けられるよう、外壁の様子にも気を配ってみてください。
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